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亡くなった方(被相続人)の家業を手伝ったりして、財産を増やしたり維持した相続人がいた場合、その相続人は少し多く遺産をもらうことができます。
これが「寄与分」の制度です。
「特別受益」は、被相続人の生前に、お金などをもらっていた相続人について、遺産の取り分を減らして、遺産分割の公平を図る制度でした。
「寄与分」は、被相続人の財産の維持または増加に、貢献をした相続人について、遺産の取り分を増やして、遺産分割の公平を図る制度です。
寄与分が認められるのは、相続人だけです。
相続人以外の人が、特別の貢献をして財産を増やしたとしても、寄与分はありません。
(ただし、特別寄与料の請求ができる場合があります。)
相続人が、
① 被相続人の生前に
② 対価なしに
③ 特別の寄与(貢献)を行うことにより
④ 被相続人の財産の維持または増加をさせた
場合に、寄与分が認められます。
① 生前の貢献であること
寄与分が認められるのは、被相続人の生前に行った貢献です。
死亡後に相続財産を増やしても、寄与分とはなりません。
② 対価なく行ったこと
寄与分が認められるのは、対価なく行った貢献です。
対価(賃金)を得ていた場合には、寄与分とはなりません。
③ 特別の寄与であること
寄与分が認められるのは、特別の寄与です。
相続人の貢献行為(寄与)が、被相続人との身分関係において通常期待されるような程度を超えている「特別の寄与」でないと、寄与分とはなりません。
④ 財産の維持または増加をさせたこと
貢献行為によって、被相続人の財産を増加させた場合だけでなく、維持した(減ることを防いだ)場合にも、寄与分が認められます。
被相続人の事業(農業・林業・漁業、会社、医師・弁護士・税理士等の業務)を手伝っていた場合です。
無報酬又はそれに近い状態で、被相続人の事業に従事して、相続財産の維持または増加に貢献した場合に、寄与分が認められます。
家業従事型の寄与分の金額についての主な計算方法は、次のものが考えられます。
寄与分の金額=通常もらえたはずの賃金×被相続人から受けていた生活費控除割合×寄与の期間
又は
寄与分の金額=相続財産の総額×相続財産の形成に貢献した割合
被相続人の借金を返済したり、被相続人の事業に資金や不動産を無償で提供するなどした場合です。
家業従事型の寄与分の金額についての主な計算方法は、次のものが考えられます。
《金銭の贈与の場合》
寄与分の金額=贈与金額×貨幣価値変動率×裁量割合
《不動産の贈与の場合》
寄与分の金額=相続開始時の不動産の価額×裁量割合
他に相続人の中に扶養義務者がいるのに、特定の相続人だけが被相続人を扶養した場合です。
現実に引き取って扶養する場合と、生活費を負担する場合とがあります。
法律上、扶養義務のある人が、その義務の履行としてその負担義務の限度内で扶養した場合には認められにくいです。
扶養型の寄与分の金額についての主な計算方法は、次のものが考えられます。
寄与分の金額=扶養のために負担した金額×裁量割合
※生活保護基準や家計調査を参考に扶養に要する金額を算定することもあります。
被相続人の療養看護・介護を行い、看護人依頼費用の支出を節約できて相続財産の維持に寄与した場合です。
扶養型の寄与分の金額についての主な計算方法は、次のものが考えられます。
寄与分の金額=療養看護の日当(介護報酬基準や民事交通事故訴訟における近親者付添費)×療養看護の日数×裁量割合
被相続人の賃貸不動産などを管理して、管理人依頼費用の支出を節約できて相続財産の維持に寄与した場合です。
財産管理型の寄与分の金額についての主な計算方法は、次のものが考えられます。
寄与分の金額=相当と認められる財産管理費用×裁量割合
寄与分が認められるのは相続人だけですが、相続人以外の親族が、無償で療養看護などをした場合に特別寄与料をもらえる制度が、令和元年7月1日民法改正によりできました。
以前は、長男の嫁が、どんなに義父の介護をしても、義父の相続人ではないので相続財産は何ももらえませんでしたが、法改正によって特別寄与料をもらえることになりました。
ただし、通常、被相続人の死亡から6か月以内に請求する必要があります。
相続人以外の親族が
①被相続人に対して
②無償で
③療養看護その他の労務の提供をして
④被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をしたときに
⑤相続人に対して
特別寄与料を請求できます。
なお、当事者間の協議で特別寄与料について決める場合には請求期限はありませんが、家庭裁判所の審判を求める場合には、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、特別寄与料を定める審判の申立はできません。
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2025/4/20
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