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受付時間
お金を支払う義務があるのに、相手が受け取ってくれないときはどうすればいいのでしょうか?
こういう場合に、「供託」が利用できます。
国家機関である「供託所」にお金を納めて、自分の「お金を支払う義務を果たす」ことができます。
家主が家賃の値上げを言ってきたけれど、金額に納得がいかず、今までの家賃を支払おうとしたところ家主が受け取ってくれない場合、そのままでは、家賃支払いの債務不履行で賃貸借契約を解除されるおそれがあります。
こういう場合に、供託所に今までの家賃を供託して、家賃支払いの義務は果たしておき、家賃の額について家主と交渉します。
また、家主が死亡して、誰が相続人かわからない場合、供託所に家賃を供託することで、家賃支払いの義務を果たすことができます。
「供託」には、次の5つの種類があります。
①弁済供託
上記の例のように、私たちに一番関係があるのが、この弁済供託です。
下記に詳しく記載します。
②担保(保証)供託
宅地建物取引業や旅行業などを行う場合に、取引の相手方を保護するため、法令で定められた一定の金銭等の供託が義務付けされています。これを「営業保証供託」といいます。
このほかにも、「裁判上の担保(保証)供託」や、「税法上の担保供託」などがあります。
③執行供託
強制執行のために行う供託です。
④保管供託
供託物そのものの保管・保全を目的としてされる供託です。
たとえば、銀行の業績が悪化して、資産状態が不良となった場合に、その財産の散逸を防止するため、監督官庁が財産の供託を命ずるものです。
⑤没取供託
公職選挙法では、立候補の濫用防止のため、選挙の立候補者に金銭等の供託をさせ、一定の得票数に満たなかった場合などに国や地方公共団体がその供託金を没取します。
このように、法の目的を実現するために、一定額の金銭等を供託させ、一定の事由が生じたときは国家が没取する供託をいいます。
供託を行う人を「供託者」といいます。
供託される人を「被供託者」といいます。
(たとえば、家賃の供託の場合の家主は「被供託者」です。)
「供託」は、法令に供託を義務付け、または許容する規定がなければすることができません。
「供託所」は、法務局なのですが、どこの法務局に供託すればいいのかについても、それぞれの根拠法令によることとなります。
民法494条に弁済供託について定められています。
金銭その他の財産の給付を目的とする債務を負担している債務者は、その債務を履行しようとしても、
①相手方(債権者)が受領を拒んだり、
②債権者の住所不明によりその受領を受けることが出来なかったり、
③債権者が死亡してその相続人が不明であるなどの債務者の過失によらないで債権者を確知することが出来ない場合、
供託することによって、債務を免れることができます。
要するに、弁済供託が出来るのは、次の3つの場合です。
①受領拒否
②受領不能
③債権者不確知
供託所は、債務履行地(債務を弁済する場所)にある供託所(法務局)です。
供託物の払渡請求は、「還付請求」と「取戻請求」の2種類があります。
(1)還付請求
被供託者(例:家賃の供託の場合の、家主)からの払渡請求を、「還付請求」といいます。
これによって、供託は目的を達成して終了します。
(2)取戻請求
供託者からの払渡請求を、「取戻請求」といいます。
供託後に供託原因が消滅したときや、当該供託が無効であったときなどに行います。
なお、供託によって質権や抵当権が消滅した場合には、供託物の取戻請求はできません。
民法
(供託)
第四百九十四条 弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。
二 債権者が弁済を受領することができないとき。
2 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。
(供託の方法)
第四百九十五条 前条の規定による供託は、債務の履行地の供託所にしなければならない。
2 供託所について法令に特別の定めがない場合には、裁判所は、弁済者の請求により、供託所の指定及び供託物の保管者の選任をしなければならない。
3 前条の規定により供託をした者は、遅滞なく、債権者に供託の通知をしなければならない。
(供託物の取戻し)
第四百九十六条 債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、弁済者は、供託物を取り戻すことができる。この場合においては、供託をしなかったものとみなす。
2 前項の規定は、供託によって質権又は抵当権が消滅した場合には、適用しない。
(供託に適しない物等)
第四百九十七条 弁済者は、次に掲げる場合には、裁判所の許可を得て、弁済の目的物を競売に付し、その代金を供託することができる。
一 その物が供託に適しないとき。
二 その物について滅失、損傷その他の事由による価格の低落のおそれがあるとき。
三 その物の保存について過分の費用を要するとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、その物を供託することが困難な事情があるとき。
(供託物の還付請求等)
第四百九十八条 弁済の目的物又は前条の代金が供託された場合には、債権者は、供託物の還付を請求することができる。
2 債務者が債権者の給付に対して弁済をすべき場合には、債権者は、その給付をしなければ、供託物を受け取ることができない。
2025/4/20
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