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相続分の譲渡

相続人があまりにも大勢いる場合には、「遺産分割協議書」よりも「相続分の譲渡」がよく使われます。

「相続分の譲渡」の意味や、メリットとデメリット、相続分譲渡証書の記載例などについてご説明します。

相続人が多数いる場合

相続人が10人、20人と、多数いる場合に、よく使われる手法として「相続分の譲渡」があります。

 

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。

相続人が20人いる場合、遺産分割協議には20人全員の合意が必要です。
 

他の全員から遺産分割協議書にハンコをもらっても、一人だけがハンコを押してくれない場合、他の全員からもらった遺産分割協議書は、無効となります。


 

そういった状況になることを避けるために「相続分の譲渡」を使うことがあります。

 

祖父名義の古い不動産があることが判明し、相続登記をしなければいけないが、相続人を調べたところ、太郎さんを含めて20人いた。

この不動産はほとんど価値がないので太郎さんが引き取ろうと思い、相続人全員に手紙を送ったところ、15人からは「それで良い」との返事が来たが、残りの4人からは何も言って来ない。

こういった場合に、よく使われるのが「相続分の譲渡」です。

 

「それで良い」との返事が来た15人から、太郎さんに対して相続分の譲渡」をしてもらいます。
「相続分の譲渡」をした15名は遺産分割協議から脱退となるので、太郎さんは、残りの4人と遺産分割協議を行えば良いことになります。
遺産分割協議がまとまらなければ、4名を相手取って、家庭裁判所に遺産分割調停の申立を行います。

 

➡遺産分割調停はこちら

 

「相続分の譲渡」とは

「相続分」とは、相続人が有する遺産全体(プラスの財産だけでなく、債務などのマイナスの財産も含みます。)に対する持分割合のことです。

「相続分の譲渡」とは、相続人が、他の相続人または第三者に対して、自分の持っている「相続分」を譲渡することです。

 

相続人が「相続分の譲渡」を受けた場合、その相続人が元々持っていた相続分に、譲渡された相続分が加算されます。
元々10分の1の相続分を持っていた相続人が、他の相続人(持分10分の1)から
相続分の譲渡」を受けると、合計、相続分は10分の2となります。
 


「相続分の譲渡」をした相続人は、遺産分割協議から脱退します。

「相続分の譲渡」を受けた人は、遺産分割協議に参加します。
 


「相続分の譲渡」は、遺産分割前でないとできません。


「相続分の譲渡」は、有償でも無償でもかまいません


 

 

なお、通常、相続分全部を譲渡することが多いですが、相続分の一部を譲渡することもできます

 

譲渡人のメリットとデメリット

メリットとしては、わずらわしい遺産分割協議から脱退できることです。


遺産分割協議は、相続人全員の合意がないと成立しません。
意見がなかなかまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、遺産分割調停でも意見がまとまらなければ家庭裁判所の審判、となり、時間と手間がかかります。

遺産をほしいわけではない場合、わずらわしい長期間の手続きにかかわらずにすむのは、大きなメリットです。

 

また、相続分の譲渡は有償でも無償でもよいため、有償で譲渡する場合には、長引く遺産分割協議の成立を待たずに、現金を取得できるというメリットがあります。

 

 

デメリットとしては、相続債務があった場合には、債権者から請求されると、譲渡人は支払う義務を負う、ということです。

 

譲渡人は、プラスの財産・マイナスの財産を含む遺産全体の相続分を譲渡し、遺産分割協議から脱退します。
譲受人は、相続債務についても、譲渡された相続分割合で承継します。

しかし
、債権者に対抗できないため、債権者から譲渡人に対して請求があった場合には、譲渡人は支払う義務を負います。

譲受人が第三者の場合

譲受人については、他の相続人でもいいし、相続人以外の第三者、全くの他人でもかまいません。

 

相続分の譲渡を受けた譲受人は、遺産分割協議に参加します。

相続人以外の第三者が譲受人であった場合も、遺産分割協議に参加させなければなりません。

 

相続人以外の第三者を遺産分割協議に参加させるのは、いやだ、協議がよけいに混乱する、という場合もあるでしょう。

そこで、民法は、相続分の譲渡から1カ月以内であれば、他の共同相続人に「相続分を取戻す権利」を認めています。(民法905条)

 

第三者に相続分の譲渡がされた場合、相続分の譲渡から1カ月以内に、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その持分を譲り受けることができます。

 

 

民 法

(相続分の取戻権)

第九百五条 共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。

 前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。

 

相続分の譲渡の手続き

相続分の譲渡は、口頭でも有効ですが、通常はトラブル防止のため、書面で行います。

譲渡人は、相続分譲渡証書に実印を押印し、印鑑証明書を添付します。

 

 

なお、他の共同相続人への通知は義務ではありませんが、第三者に譲渡する場合には、他の相続人が取戻し権を行使(譲渡から1カ月以内に行使しなければなりません)できるように、譲渡した旨の通知を送っておくといいでしょう。

相続分譲渡証書の記載例

            相続分譲渡証書 

 

最後の本籍  ○○市○○区○○町〇丁目〇番地

最後の住所  ○○市○○区○○町〇丁目〇番〇号

被相続人   山田太郎

死亡年月日  令和〇年〇月〇日 

 

上記被相続人の相続について、甲は、乙に対し、本日、甲の相続分全部を譲渡し、乙はこれを譲り受けた。

 

 令和〇年〇月〇日 

 

       住所 ○○市○○区○○町〇丁目〇番〇号  

譲渡人(甲) 氏名 ○○ ○○ (実印) 

 

 

       住所 ○○市○○区○○町〇丁目〇番〇号                 

譲受人(乙) 氏名 ○○ ○○ (印)

 

 

 

遺産分割調停と「相続分の譲渡」

遺産分割調停の申立前に「相続分の譲渡」があった場合、遺産分割手続きの当事者適格を喪失しますので、相手方から除きます。

「相続分の譲渡」をしなかった共同相続人全員を相手方にして、遺産分割調停を申立ます。
申立をする裁判所は、相手方のうちの一人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

遺産分割調停申立書には、「相続分譲渡証書及び印鑑証明書」を添付します。

 

遺産分割調停の申立後に「相続分の譲渡」があった場合、裁判所が「排除決定」をして、遺産分割手続きの当事者から除きます。

裁判所には、「相続分譲渡証書及び印鑑証明書」及び「即時抗告権放棄書」を提出します。

(詳細は、調停手続き中の当該家庭裁判所にご確認ください。)

「相続放棄」との違い

「相続放棄」は、相続人でなかったことになりますので、被相続人(亡くなった方)の負債についても一切、承継しません。
 

これに対して、「相続分の譲渡」をしても相続人でなかったことにはなりませんので、上記のデメリット欄にもありますように、債権者との関係では、なお、支払い義務を負います。

 

また、「相続放棄」は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内」に家庭裁判所で手続きを行なわなければなりません。
 

これに対して、「相続分の譲渡」は、「3カ月以内」という要件はなく、遺産分割前であれば出来ます。
また、手続きも家庭裁判所で行うのではなく、当事者だけで出来ます。

 

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