〒542-0012 大阪府大阪市中央区谷町7丁目4番31号 大南ビル2階
(大阪メトロ谷町線「谷町六丁目駅」4番出口より徒歩3分)
受付時間
生命保険における死亡保険金は、相続財産になるのでしょうか?
通常、生命保険金は、保険契約に基づいて受取人自身が受け取るもの(受取人固有の財産)であるため、相続財産ではありません。
(しかし、後記のとおり、税法上では、「みなし相続財産」となりますので注意が必要です。)
したがいまして、相続財産ではないので、遺産分割協議は必要なく、また、相続放棄をしても、生命保険金は受け取ることが出来ます。
生命保険金には、保険料負担者や保険金受取人の違いによって、所得税又は相続税又は贈与税がかかります。
被保険者 | 保険料負担者 | 保険金受取人 | 税金 |
---|---|---|---|
A | B | B | 所得税 |
A | A | B | 相続税 |
A | B | C | 贈与税 |
相続人の一人だけが保険金の受取人となっていて多額の生命保険金を取得し、他の相続人が相続した遺産があまりにも少なかった場合など、あまりにも不公平な場合はどうなるのでしょうか?
あまりにも不公平な場合には、「特別受益」に準じて持ち戻しの対象となります。
(➡「特別受益」はこちら)
生命保険金を含めて相続財産を計算し、遺産分割協議を行うことになります。
下記に最高裁判所の判例の要旨を載せておきます。
「被相続人を保険契約者及び被保険者とし、共同相続人の一人または一部の者を保険金受取人とする保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権は、民法903条第1項に規定する遺贈または贈与に係る財産には当たらないが、保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率、保険金受取人である相続人および他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生じる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、民法903条の類推適用により、特別受益に準じて持ち戻しの対象となる。」(最二小決平成16.10.29)
被相続人の死亡によって、相続人が取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。
相続人が取得した生命保険金は、相続財産ではないですが、税務上は「みなし相続財産」とされ、非課税限度額を超えた金額について、相続税が課税されます。
生命保険金の相続税の「非課税限度額」=500万円×法定相続人の数
「法定相続人の数」は、相続放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数です。すなわち、相続放棄をした人も含めた数です。
また、相続人の中に養子がいる場合、「法定相続人の数」に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。
なお、相続人以外の人が取得した生命保険金には、非課税の適用はありません。
被相続人の死亡よりも前に、「指定していた死亡保険金受取人」が死亡していた場合はどうなるのでしょうか?
たとえば、山田太郎さんが、自分の妻「山田花子」を死亡保険金の受取人に指定していて、妻が亡くなった後も死亡保険金の受取人の変更をしていなかった場合です。
この保険契約のまま、山田太郎さんが死亡した場合、生命保険金は誰に支払われるのでしょうか?
この場合は、「指定受取人 山田花子の相続人」が「均等に」受け取ることになります。
指定受取人の法定相続人が均等に受け取ります。(平成5年9月7日最高裁判決)
「被相続人 山田太郎さんの相続人」でもないし、また、「法定相続分」の割合でもありません。
なお、死亡保険金受取人を、被相続人の「相続人」と指定していた場合は、上記とは異なります。
「相続人」という指定には、「相続分の割合による」指定も含まれていると判断され、相続分の割合で受け取ります。(平成6年7月18日最高裁判決)
「被相続人 山田太郎さんの相続人」が「法定相続分」の割合で受け取ります。
平成5年9月7日最高裁判決 裁判要旨
一 商法六七六条二項にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」とは、保険契約者によって保険金受取人として指定された者の法定相続人又は順次の法定相続人であって被保険者の死亡時に生存する者をいう。
二 生命保険の指定受取人の法定相続人と順次の法定相続人とが保険金受取人として確定した場合には、各保険金受取人の権利の割合は、民法四二七条の規定の適用により、平等の割合になる。
平成6年7月18日最高裁判決 裁判要旨
保険契約において保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の「相続人」と指定した場合は、特段の事情のない限り、右指定には相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を相続分の割合によるとする旨の指定も含まれ、各保険金受取人の有する権利の割合は相続分の割合になる。
保険法 第46条
保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる。
民法 第427条
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
2025/4/20
〒542-0012 大阪府大阪市中央区谷町7丁目4番31号 大南ビル2階
大阪メトロ谷町線「谷町六丁目駅」4番出口より徒歩3分/駐車場:隣と斜め前にコインパーキングあり
9:00~17:00
土曜・日曜・祝日(※事前予約で対応可能です)