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住宅ローンを完済した場合などに、自宅に付いている抵当権の抹消登記を行います。
銀行などから抹消書類一式をもらって、登記申請をするのが、通常のパターンです。
(➡ 通常の抵当権抹消はこちら)
ところが、抵当権者がどこの誰かわからない、第一、借りていたことも知らないし、借りたお金を返済し終わっているかどうかもわからない、といったことがあります。
名義が祖父のままの不動産について、相続登記をしようと不動産の謄本を取ったら抵当権が付いていた、など、何かしようとして不動産の謄本を取って初めて分かったということがあります。
明治時代や大正時代、昭和初期に設定された抵当権、完済しているかどうかもわからない、抵当権者(債権者)もどこにいるのかわからず行方不明。こういったものを休眠担保権といいます。
休眠担保権が付いたままの不動産は売却ができませんので、早急に休眠担保権の抹消登記をしておく必要があります。
通常、抵当権抹消登記は、不動産所有者と抵当権者との共同申請で行うのが原則です。
抵当権者に連絡がつくのであれば、共同申請で抵当権を抹消できます。
しかし、抵当権者が行方不明の場合はどうすればいいのでしょうか?
抵当権者を調査しても行方不明の場合の、休眠担保権の抹消登記申請は、不動産所有者が単独申請できる4つの方法があります。
(1)弁済証書による抹消方法
(2)供託による抹消方法
(3)除権決定による抹消方法
(4)判決による抹消方法
(1)弁済証書による抹消方法
完済した証拠書類(債権証書、並びに、債権及び最後の2年分の利息その他の定期金の受取証書)を法務局に提出する方法です。
書類が残っていれば、これが一番早くて費用もかからないのですが、現実には、昔に完済した書類を保管されていることはまれです。
(2)供託による抹消方法
弁済期から20年を経過し、かつ、その期間を経過した後に債権額・利息・損害金の全額を供託する方法です。
明治時代などの古い抵当権の場合は、債権額が金50円などと、供託金額が低くてすみますが、昭和の抵当権では、何十万円もになったりします。
(3)除権決定による抹消方法
裁判所に公示催告の申立を行い、除権決定を得る方法です。
債務が消滅していることが必要であり、数カ月の期間がかかります。
現実にはあまり利用されません。
(4)判決による抹消方法
裁判所に訴訟を起こして、判決を得て抹消登記をする方法です。
裁判に数カ月の期間がかかります。
不動産所有者の単独申請による抵当権抹消登記は、抵当権者が行方不明であることが条件です。
抵当権者が行方不明であることの証明については、抵当権者が法人か自然人かによって変わります。
(1)法人の行方不明
法人の「行方不明」とは、登記簿に記載がなく、かつ、閉鎖登記簿が廃棄済みであるため、その存在を確認することが出来ない場合等をいいます。
閉鎖登記簿がある場合は、「行方不明」とはみなされません。
「法人の行方不明を証する書面」としては、登記簿調査をした内容を「調査書」として提出します。
調査書には、申請人が実印を押印し、印鑑証明書(期限なし)の添付が必要です。
《法人の調査書の例》
調 査 書
1.調査年月日 令和 年 月 日 2.登記義務者である法人の表示 ○○県○○市○○町○○番地 ○○株式会社 代表取締役 ○○○○ 3.調査の目的 上記法人の登記簿(閉鎖登記簿を含む)の存否 4.調査の結果 上記法人の登記簿上の所在地を管轄する登記所において当該法人の登記簿の閲覧を申請したが、当該の登記簿及び閉鎖登記簿が存在しないため、その目的を達することができなかった。 当職は、○○○○の委任により、調査の結果、上記のとおりであることを報告します。 令和〇年〇月〇日 事務所 ○○市○○区○○町〇丁目〇番〇号 司法書士 ○○○○ [職印] ○○○○ 殿 私は上記のとおり調査を委任し、調査をさせたことを証明します。 令和〇年〇月〇日 住所 ○○市○○区○○町〇丁目〇番〇号 申請人 ○○○○ [実印]
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(2)自然人の行方不明
自然人の「行方不明」とは、単に所在を知らないというだけでは足りません。
住民票や戸籍の調査、官公署や近隣住民からの聞き込み等、相当な探索手段を尽くしても、なお不明であることを要します。
また、抵当権者が死亡している場合は、その相続人を調査する必要があります。
「自然人の行方不明を証する書面」としては、以下のものがあります。
① 市区町村長の「不在住証明書」(現在、その肩書地に居住していない旨の証明書)
(注意:「住民票に記載がない」という証明書では、行方不明の証明にはなりません。住民票がないからといって、そこに住んでいないとは限らないからです。)
② 民生委員の証明書
(注意:自治会長や保護司や町内会長の証明書では、行方不明を証する書面にはなりません。)
《民生委員の証明書の例》
住所 ○○市○○町○○番地 氏名 ○○○○
令和〇年〇月〇日 事務所 ○○市○○区○○町〇丁目〇番〇号 司法書士 ○○○○ [職印] 民生委員 ○○○○ 殿 上記のとおり相違ないことを証明します。 令和〇年〇月〇日 ○○市○○区○○町〇丁目〇番〇号 民生委員 ○○○○ ㊞
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③ 警察官の証明書
警察官が所在を調査した結果を記載した書面も「行方不明」を証する証明書として利用できます。
④ 抵当権者の住所に宛てた配達証明付郵便が、「宛て所に尋ね当たりません」等で返送された封筒
実務では、これが一番よく使われます。
不動産登記法
第70条(登記義務者の所在が知れない場合の登記の抹消)
1 登記権利者は、登記義務者の所在が知れないため登記義務者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第九十九条に規定する公示催告の申立てをすることができる。
2 前項の場合において、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定があったときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で前項の登記の抹消を申請することができる。
3 第一項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。
2023年4月1日法改正で「供託金なし」の方法が新設されました。
(➡詳しくはこちらへ)
内 容 | 司法書士報酬 | 実費 |
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金銭を供託して休眠担保権抹消 | 18万円 | 担保権者の調査費用 |
裁判手続きをして休眠担保権抹消 | 30万円 | 担保権者の調査費用 印紙代 交通費・郵送料 |
※事件の難易度や複雑さによっては報酬が加算されることがあります。
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2025/4/20
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